そもそも、たんぱく質とは?体をつくるだけではない、大切な栄養素の話

「たんぱく質」と聞くと、筋肉をつけるための栄養素を思い浮かべる方が多いかもしれません。

けれども、たんぱく質が使われているのは筋肉だけではありません。皮膚や髪、爪、内臓など、私たちの体のさまざまな部分をつくる材料として利用されています。また、体の働きを調整する酵素やホルモン、栄養素などを運ぶ物質の材料にもなります。

健康的な毎日を支えるうえで、年齢を問わず欠かすことのできない栄養素。それが、たんぱく質です。

今回は、たんぱく質とはどのようなものなのか、体内でどのように使われるのか、どんな食品からとれるのかを、分かりやすくご紹介します。

たんぱく質は「体の材料」になる栄養素

たんぱく質は、脂質、炭水化物と並ぶ「エネルギー産生栄養素」のひとつです。たんぱく質1gからは、約4kcalのエネルギーが生み出されます。

しかし、たんぱく質の役割は、エネルギーをつくることだけではありません。

文部科学省の「日本食品標準成分表」では、たんぱく質について、体の組織、酵素、ホルモン、栄養素を運ぶ物質などの材料になる重要な成分と説明されています。

たとえば、次のようなものにたんぱく質が関係しています。

  • 筋肉
  • 皮膚
  • 髪や爪
  • 内臓
  • 血液中の成分
  • 酵素
  • 一部のホルモン
  • 抗体
  • 栄養素などを運ぶ物質

つまり、たんぱく質は単に「筋肉のための栄養素」なのではなく、体をつくり、その働きを支える幅広い役割を担っています。

私たちの体内では、古くなったたんぱく質が分解される一方で、新しいたんぱく質がつくられています。この入れ替わりは、毎日繰り返されています。そのため、成長期の子どもや運動をする人だけでなく、大人やシニア世代にとっても、食事から継続してたんぱく質をとることが大切です。

たんぱく質をつくっている「アミノ酸」

たんぱく質は、多数の「アミノ酸」がつながってできています。

食事からとったたんぱく質は、そのままの形で体の一部になるわけではありません。胃や小腸で消化され、ペプチドやアミノ酸などの小さな形に分解されます。その後、小腸から吸収され、血液を通して体の各組織へ運ばれます。

運ばれたアミノ酸は、必要に応じて再び組み合わされ、筋肉や酵素など、その人の体に必要なたんぱく質につくり替えられます。

人の体を構成するたんぱく質には、主に20種類のアミノ酸が使われています。そのうち、体内で十分な量をつくることができず、食事からとる必要がある9種類を「必須アミノ酸」と呼びます。

必須アミノ酸には、次の9種類があります。

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン
  • リジン
  • メチオニン
  • フェニルアラニン
  • スレオニン
  • トリプトファン
  • ヒスチジン

「必須」という言葉は、ほかのアミノ酸よりも重要という意味ではありません。「体内で必要量を合成できないため、食事からとる必要がある」という意味です。

たんぱく質は体にためておける?

体には、脂肪を体脂肪として蓄えたり、糖質の一部をグリコーゲンとして蓄えたりする仕組みがあります。

一方、たんぱく質には、それだけを保管しておく専用の貯蔵庫があるわけではありません。体内のたんぱく質は常につくり替えられており、食事からとったアミノ酸は、そのときの体の状態に応じて利用されます。

余ったアミノ酸も、すべてがそのまま筋肉になるわけではありません。必要に応じてエネルギー源などとして使われ、窒素を含む部分は主に尿素となって体外へ排出されます。

そのため、ある日にまとめて大量にとるというよりも、毎日の食事の中で継続してとることが基本です。夕食だけに偏らせず、朝食、昼食、夕食のそれぞれに、たんぱく質を含む食品を取り入れると、必要量を確保しやすくなります。

1日にどれくらい必要?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、健康な18~64歳の推奨量として、男性は1日65g、女性は1日50gが示されています。

ただし、これは一般的な目安です。必要な量は、年齢、性別、体格、活動量、妊娠・授乳の有無、健康状態などによって異なります。

また、食品の重量と、その食品に含まれるたんぱく質量は同じではありません。たとえば「魚を100g食べたから、たんぱく質を100gとった」ということではありません。実際の含有量は食品ごとに異なるため、包装食品の場合は栄養成分表示を確認してみましょう。

たんぱく質は多ければ多いほどよい、というものでもありません。たんぱく質だけに注目して、野菜、穀類、果物などが減ってしまえば、食物繊維やビタミン、ミネラルなど、ほかの栄養素が不足する可能性があります。

持病がある方、特に腎臓の機能について医師から指摘を受けている方は、自己判断でたんぱく質を増減せず、医師や管理栄養士に相談してください。

どんな食品に含まれている?

たんぱく質は、次のようなさまざまな食品に含まれています。

動物性食品

  • 魚介類
  • 肉類
  • 卵
  • 牛乳・乳製品

植物性食品

  • 大豆・大豆製品
  • ひよこ豆
  • レッドキドニーなどの豆類
  • 穀類
  • ナッツ類

魚、肉、卵などの動物性食品は、必須アミノ酸を比較的バランスよく含むものが多いのが特徴です。一方、豆類をはじめとする植物性食品は、たんぱく質とともに食物繊維などをとれるという特徴があります。

たんぱく質の「質」を考えるときは、含まれる必須アミノ酸の構成と、どの程度消化・吸収されるかが重要になります。ただし、ひとつの食品だけですべてを完璧に補おうとする必要はありません。

魚、肉、卵、大豆、豆類など、異なる食品を日々の食事の中で組み合わせれば、さまざまなアミノ酸や、そのほかの栄養素を取り入れやすくなります。動物性か植物性かのどちらか一方に決めるのではなく、両方を上手に活用することがポイントです。

毎日の食事に取り入れるには

たんぱく質をとるために、特別な料理を毎回用意する必要はありません。

たとえば朝食なら、卵、ヨーグルト、豆類、ツナなどを一品加える。昼食なら、ごはんやパンだけで済ませず、魚や鶏肉、豆を使ったおかずを組み合わせる。夕食には、魚、肉、大豆製品などを主菜として取り入れる、といった方法があります。

ツナやとりささみ、豆類などの缶詰やパウチ食品も、たんぱく質を含む食品を手軽に加えたいときに便利です。

サラダにツナや豆を加える、スープにとりささみを加える、カレーに豆を加えるなど、普段の料理に一品プラスするだけでも、食事全体の栄養バランスを整えやすくなります。

商品によって、たんぱく質、脂質、食塩相当量などは異なります。パッケージの栄養成分表示を見比べ、その日の献立や目的に合うものを選びましょう。

まとめ

たんぱく質は、筋肉だけでなく、皮膚、髪、内臓、酵素など、体のさまざまな部分や働きを支える重要な栄養素です。

食事からとったたんぱく質は、消化によってアミノ酸などに分解され、体に必要なたんぱく質へとつくり替えられます。毎日の食事で、魚、肉、卵、乳製品、大豆、豆類などをバランスよく組み合わせることが大切です。

まずは、「今日の朝食や昼食に、たんぱく質を含む食品はあったかな?」と振り返るところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

参考資料・根拠

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
  2. 文部科学省「日本食品標準成分表・食品成分データベース―一般成分:たんぱく質」
    https://fooddb.mext.go.jp/nutman/nutman_03.html
  3. Wu G. Dietary protein intake and human health. Food & Function. 2016;7(3):1251–1265.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26797090/
    DOI: 10.1039/C5FO01530H
  4. Food and Agriculture Organization of the United Nations. Dietary Protein Quality Evaluation in Human Nutrition. FAO Food and Nutrition Paper 92. 2013.
    https://www.fao.org/4/i3124e/i3124e.pdf
  5. Herreman L, Nommensen P, Pennings B, Laus MC. Comprehensive overview of the quality of plant- and animal-sourced proteins based on the digestible indispensable amino acid score. Food Science & Nutrition. 2020;8(10):5379–5391.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33133540/
    DOI: 10.1002/fsn3.1809